(金剛登山口→しいたけセンター→林道長谷線 約3・1キロ 約90分)

金剛バスや南海バスで金剛登山口を下車、少しバックして元しいたけセンター(現在まつまさ)前を通過、正面突き当たりを左手の林道に入る。すぐにまつまさの駐車場の向こうに小堰堤が見える。黒栂谷谷砂防ダムである。昭和60年7月の豪雨によって大きな土砂崩れがあり、それを機会に治水のために完成したもの。
横目に見て進むと、「生活科学研究所」の看板。何をしているか、外見上からは全然わからない研究所。医薬剤などの開発のために動物実験をやっているらしく、猿やウサギを見たことがあるという登山者がいる。長い棟がつ続いている。いつも人影さえない静かな建物。
右手の山側のせまい空き地に立つ木造の建物は備前焼の工房「千早窯」。澤田一歩さんの夢工房。登り窯を用意して本格的な備前焼に挑戦している。03年秋、展示室を増築した。年二度ほどの作品展示・販売している。この建物の前から分岐。直進すると、村の浄水場があり、その背後から高畑コースが始まる。
左の立派な橋を渡ると、カトラ谷、セトに通じる林道が続く。この橋の橋脚に大きなススメバチの巣が出来ていたことがある。スズメバチは、怒らせると、大変危険な毒針をもつ蜂に変身するので用心しなくてはならない。橋には遮断機があり、一般車の通行はできない。
沢を巻くように林道を行くと、短い橋を渡り、沢は左手に移る。左右は濃い植林の山腹が迫り、しだいに山中に進入していくことを実感する。冬場には雪道と化していることが多い。どんどん歩いていくと、突き当たる。右はさらに林道長谷足谷線がが清井山方向の進んでいるが、目ざすカトラ谷は右手に折れる。折れたあと、樹間を攀じると、セトへのコ−スの乗るご用心。
その小さな三叉路が、右に写真の場所。樹幹にテープが巻かれているから見逃さないようにすると良い。数十メートル森の中に入ると、小広場がある。丸太が転がっていて、ここで登山口から一気に歩いてきた登山者は小休止。ここから本当の沢歩きが始まる。自然のままのせせらぎ伝いに登って行く。
右の写真にいる登山者は単独行で、ずっと前に立って歩いていたので、被写体にした。せせらぎは、前日に降雨があったりしたら、水かさが増しm流れもきつくなるので慎重に。あまり降雨が多かったときは、このコースを通過しない方がいいかも。昭和60年の土砂崩れはカトラ谷を中心に起きたのだ。
この日は、やや水量が多く、沢にある小さな崖も滝のようになっていた。倒木が多いのも崩れやすい山腹が左右にあることを物語っている。足場が濡れている場所もある。スリップに気をつけよう。
沢の幅が広がり、深くなってきた。やがて右手の斜面を歩く。そしてこの谷のハイライトである、狭い崖の細い道をロープ伝いになる。沢は目の下に深く、右側の山は迫っている。電線やトラロープがしっかり張られているので慎重に進めば問題ない。土日など登山者が多いときは、ここで一列になって渋滞が起きる。
渋滞のおもな原因は、崖が終わると、こんどは45度の急傾斜で5メートルほど攀じ登ることになる。ここでも鎖とロープを握り締めて慎重に進むのだが、一人一人が順番を待つので、渋滞する。とくにグループがいると、もう全然前に進まない。言ってみれば、カニの横ばい,縦バイのカトラ谷版かもしれない。なお、このコースは、ここの難所があるので下山路にはしない方がいいかも。カトラ谷のハイライトは、ここと、もう一つは初夏のニリンソウ畑の満開風景。これは見事なお花畑です。ぜひ一見の価値がありますよ。
上と下の写真は、その渋滞を写したもの。中年女性何人かを含むグループが順番に上っていたため、動きが止まっていた。お互いさまだから、おとなしく待つ。
ここを抜けると、再び谷歩きとなるが、すぐにコース唯一の水呑み場がある。前に立ちはだかる大きな岩から二箇所、冷たい清水が湧いている。絶好の一服場所。登山者が腰をおろして休んでいるのを横目に再度歩きを再開する。
あとはゆるやかな斜面。春ともなれば、たくさんの野の花が咲いて、目を楽しませてくれる辺りだ。カメラマンが低位置にカメラを据えて一面の白い花、ニリンソウを撮っている場面に行き会わすし、女性グループが必ず感嘆の声を上げている。山中の花園である。
踏み跡なりに登っていくと、山頂直下の傾斜になる。わずか数十メートルだが、疲れた足には,最後のきつい登り。例によってロープが張られている。よっこらさと登っていくと、高畑のコースから来る尾根筋と合流する。
そして大きな栗の木がある広場に出る。右端に井戸がある。呑めないけれど、夏の暑い日、この水で体を拭けるのはありがたい楽しみ。栗の木は落葉樹。初夏にわっと歓声が響いてくるような勢いで一気に若葉に包まれる。毎年の自然の営み。この木陰でお昼を食べるのも楽しいことだ。

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